農産物流通事業(卸売・販売)– 私たちが目指す、持続可能な有機農業を実現する流通の仕組み –

農産物流通事業

日本有機農業協同組合(以下:JOAC)の農産物流通事業は、「安全・安心な有機農産物の安定供給」と「生産者の経営安定」を同時に実現するための、生産から販売までを一貫して担う事業です。

近年、健康志向・環境志向の高まりから有機農産物の需要は増加していますが、従来の流通では、生産者は「販路の確保」や「販売価格の不安定さ」に、消費者は「安定的な入手」や「適正価格」に課題を抱えてきました。

当組合は、これらの課題を解決し、将来的にアメリカのサンキストのような生産者団体となることを理想として、「一括販売による安定販路の確保と適正価格での販売」を目指します。

目次

1.徹底した品質へのこだわりと高付加価値化

有機農産物には「値段が高いが美味しくない」というイメージを持たれることがありますが、当組合はこれを払拭します。

「美味しさ」にこだわる農産物の供給

  • 食の安全に加え、本能的な潜在欲求に訴えかける「美味しさ」を追求した農産物を供給します。
  • この品質を安定して実現するため、当組合はBLOF理論に基づく栽培技術指導と連携しており、高収量・高品質の有機農産物の生産を可能にしています。

「優位性の証明と表示」

  • 生産者が苦労して作った農産物が消費者に認められるよう、優位性を明確に証明し、表示することで消費者の「安心」を「安全」であるという認識に変え価値を高めます。

2.有機農産物に特化した安定的な販路の構築

有機農産物は、需給バランスが不安定で「売り難く、仕入れ難く不確実性が高い」という課題があります。

この不確実性を当組合が逓減し、すべてのステークホルダーの事業計画の確実性を高めることが、営業部の重要な役割です。

主要な販売先

  • 小売業者、食品加工メーカーと連携し、特に「こだわり系の小売店」や「差別化を図りたい小売店」を中心に農産物を供給します。
  • 有機加工食品の製造を計画するメーカーには、原料を安定的に供給します。

契約的取引の拡大

  • 積極的に事前商談を実施し、組合による一括販売体制を強化することで、生産者の所得向上と経営の安定化を図ります。

安定供給のためのバッファー機能

  • 農産物の生産は天候などに左右されますが、当組合は加工工場と保管施設を整備し、バッファー機能(緩衝機能)を強化します。
  • 加工原料(小麦、大豆等)の保管や加工食品事業部との連携により安定した供給を実現します。

3.効率と広域化を実現する「ハブtoハブ流通網の整備」

持続可能な農業の実現には、効率的で広域な流通網が不可欠です。

「物流」における主要事業として、「流通網の整備」と「流通のハブ」の構築を掲げています。

産地ハブ(集荷拠点)の構築

  • 産地に集荷場を作り、地域の生産法人などが中心となり、一時的な集荷拠点となります。
  • この拠点を起点として、地域の物流網を整備します。

広域物流網の活用

  • 産地側の物流拠点を、物流業者のセンター、大手小売業、あるいは既存のJAの施設などが担い、消費地につながる基幹物流にのせます。
  • 市場便も積極的に利用します。

消費地ハブの連携

  • 消費地では、中央市場の施設、物流業者のセンター、小売店の集配センターを通じて、各店舗への納品を効率的に行います。

当組合が流通を担うことで、流通業や小売業者は、競争優位の実現が可能となります。

これは、垂直統合が困難な有機農産物の仕入れにおいて、当組合が安定的な「良い商品」の供給元となるためです。

生産者・消費者へのメッセージ

当組合の流通事業は、生産者の皆さまが「生産活動に専念できる環境」を整備し、「儲かる農業」の実現を目指すとともに、消費者の皆さまには「生産者の顔が見える」安全・安心な有機農産物を安定的に提供し、豊かな食生活の実現に貢献してまいります。

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